ドローン(UAV)レーザ測量(別名:UAV-LiDAR測量)は、従来の地上測量では困難だった広範囲や複雑な地形を高精度かつ短期間で計測できるため、建設、土木、インフラ管理の現場で導入が進んでいます。
本記事では、ドローン(UAV)レーザ測量で得られる主な成果物の特徴と用途、実際に活用されている事例などを解説していますので、導入を検討している方は参考情報としてご活用ください。
3D空間上の位置情報を持つ膨大な点の集合です。ドローンに搭載されたレーザ(LiDAR)から発射されるパルスが地表や構造物に当たり、その反射時間をもとにX・Y・Z座標を算出します。
一般的に、1回の計測で数百万から数千万点規模のデータを取得でき、現地の地形や構造物の形状、樹木の高さや分布まで高密度に記録できるのが特徴です。
土木設計や造成計画、災害時の被害調査、現場進捗の可視化や管理など、幅広い現場業務の基礎資料として活用されています。
東京都が推進する「デジタルツイン実現プロジェクト」では、2030年の完成を目指して都市空間を仮想的に再現するための取り組みが進行中です。点群データは3D都市モデルの作成や、3Dビューアの高機能化に不可欠な基礎データとして活用されています。
具体的には、建物、道路、公共インフラなどの構造物を高精度に再現。経済活動や人流などのデータを統合表示することで、都市の「見える化」を図りました。都市計画や防災、交通最適化など、複数の行政用途での活用が期待されています。
点群データをもとに地表面の高さを数値で表現したモデルです。DSMは地面の起伏だけでなく、地表に存在する建物や樹木などの物体全体の高さを反映します(例:建物や樹木など)。
空間全体の凹凸や障害物の位置関係を、短時間で可視化できるのが特徴です。都市開発や森林管理、送電線ルートの障害物調査、土地利用の解析、防災計画の資料など、幅広い用途で活用されています。
点群データから地表面上の構造物(例:建物や樹木など)を除去し、地面のみの標高を数値化したモデルです。
DEMは河川の洪水シミュレーション、土砂災害リスク評価、基盤地盤の調査、インフラ整備の基礎資料など、地形そのものの情報が求められるシーンで活用されています。建物や植生の影響を受けず、純粋な標高情報だけを抽出できるため、解析精度の高いリスク評価が可能です。
点群データや補正した画像から立体的に再構築されるデジタルモデルです。主に「.obj」や「.fbx」などの形式で出力されます。
3Dモデリングデータの用途は大きく分けて二通りあります。一つは建設設計や進捗管理など技術的な業務プロセスです。設計者や施工担当者が現場の立体的な状況を把握し、設計・施工計画の作成、出来形管理、設計内容の検証や工程の見直し、品質管理などに役立ちます。
もう一つは仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった先進的な可視化技術への応用です。3DモデリングデータをVRやARで活用することで、遠隔地の関係者と現場の空間情報を共有したり、バーチャル上での合意形成やシミュレーションの効率化に貢献します。
点群データや3Dモデリングデータのうち、CADソフトに取り込みやすい形で出力したデータ全般を指します。代表的なのは、DXFやDWGなどのCAD形式で出力された図面(等高線図・縦横断図など)。他にも、CAD形式の地形モデルや土量計算、線形・配置情報、属性付き地物データなども取得可能です。
CAD形式は、建設・土木業界の設計・施工現場で標準的に使用されており、データをそのまま取り込んで使えるため、やり取り工数や作業時間を短縮できます。
水部を含む複雑な地形を、精密に把握。浅部はグリーンレーザ、深部はソナーを使用することで、河床の起伏を精密に可視化し、公共測量基準レベル500をクリア(※1)。
砂防基盤図など、精密な3D図化が求められる測量に対応。国交省仕様に準拠した図化・地形図作成を、社内技術者が一貫して手がけている。
単に「樹木下の地形を計測」だけでなく樹高・樹種・本数・材積を自社の技術と解析で算出可能。樹種分類や資源量推計専門の技術者チームが、写真測量から材積推計までを大幅に効率化。
標識が置けないような急峻林でも、UAVレーザとドローンを適切に組み合わせ、後処理補正で公共測量基準±5㎝の精度(※2)を実測。
国交省「3D都市モデル整備プロジェクト」で50超の自治体データ(※3)を手掛けるなど、都市インフラ公共測量の行政案件で豊富な実績(※4)あり。
空中写真・レーザ・MMS点群を組み合わせ、壁面や道路脇も“抜け”なく3D化。出来上がったデータはCIM/BIM連携や日影・浸水シミュレーションに活用できる。
※1参照元:エアロ・フォト・センター公式HP(https://kkapc.co.jp/事例紹介/)
※2参照元:FLIGHTS公式HP (https://lidar.flightsinc.jp/lp/liair/)
※3参照元:パスコ公式HP(2025年7月確認時点)(https://www.pasco.co.jp/pickup/plateau/)
※4参照元:IRBANK|株式会社パスコ(2025年7月確認時点)(https://irbank.net/chotatu/5013201004656)