植生が豊かで水面変動も大きい河川環境での測量は、従来の地上測量や有人航空測量では時間、コスト、そして安全性の面で多くの課題を抱えていました。こうした課題を解決するため導入されているのが、ドローン(UAV)レーザ測量です。本記事では、ドローン(UAV)レーザ測量がもたらす、河川管理の効率化と事例、業者選びのポイントなどをご紹介します。
河川測量でドローン(UAV)レーザ測量を導入するメリットは、広範囲を短時間で高精度に測量できる点です。この技術により、洪水対策のための河川断面の把握や、土砂堆積状況の正確な把握など、河川管理に必要な情報を効率的かつ網羅的に得ることができます。
グリーンレーザは、水面や浅水域での高い透過性と反射強度を両立させた、河川環境の3D測量に適した波長です。この特性により、従来の赤外線レーザでは計測が困難だった水面下や植生に覆われたエリアでも、高精度な河床地形データを効率的に取得することが可能になります。
水面下数十㎝まで光が到達し、浅水域の底質や起伏を高密度な点群データとして捉えることが可能です。従来の赤外線や近赤外線レーザでは計測が困難であった水深1m未満の領域においても、詳細な地形データを取得できます。
河床の沈下や堆積状況など、㎝単位の微細な地形変動も高精度で検出できるため、河川の維持管理や防災計画において極めて有効な情報となります。
高精度な河川測量データを取得するためには、グリーンレーザの反射強度値の統一的な取得が欠かせません。専門業者は、レーザ出力、スキャン角度、飛行高度などを適正化したフライトプランを事前に策定し、均質なデータを確保します。
また、天候(日射や曇天)や水位変動など現場のリアルタイムな状況に応じて、測定条件を柔軟に調整するノウハウも持ち合わせている点も強みです。
グリーンレーザは浅水域での測量に優位性がありますが、水深が数mを上回る深水域ではレーザ光が届きにくくなることがあります。このような場合では、ドローン(UAV)レーザ測量とマルチビームソナーや単線式ソナーなどの水中音響測量を併用することで、河川の全レンジにおける地形データを取得しやすくなります。
レーザとソナーで取得されたそれぞれの座標系データを高精度に合わせ込み、3Dモデルとしてシームレスに結合するワークフローが確立。統合されたデータは、浸水予測シミュレーションなど、より高度な河川管理や防災対策への活用が可能となります。
ドローン(UAV)レーザ測量は、実際の河川管理の現場で多岐にわたる成果を上げています。具体的な導入事例を通して、その効果と可能性をご紹介します。
エアロ・フォト・センターでは、相模川中流域にてドローン搭載型グリーンレーザを用い、水部を含む河床地形データを取得。従来のレッドレーザでは捉えられない水部の地形を短時間で可視化できるため、洪水後などの地形把握に活かすことができます。現場では濁度の計測も実施し、濁度1.5では深度約1.7mまで明確に判別。濁度13.0の本流側でも深度約0.4mまで点群が取得できます。
同時にシングルビームソナーを併用し、最大0.08mの誤差に収まることを確認。国交省「河川管理用三次元データ活用マニュアル(案)」で定められた許容範囲(0.3m以内)に準拠し、信頼性の高い河川測量が可能であることを実証しました。
| 計測地 | 面積 | 精度区分 |
|---|---|---|
| 福島県 陸+河川 |
19ha | 500 |
| 山梨県 陸+河川 |
7.4ha | 500 |
| 山梨県 陸+河川 |
5ha | 500 |
| 埼玉県 陸+河川 |
48ha | 500 |
ビジュアル・システムズの事例では、グリーンレーザと近赤外レーザを用いて、河川や海岸のリスクを抑えつつ効率的な測量を実現しています。グリーンレーザで水の部分を、近赤外レーザで陸の部分を測量し、それぞれのデータを統合。河川底部の詳細な地形データを高密度で取得し、浅水域の底質分類や水深分布を効率的に把握できました。
レーザ測量で求められる「レベル500・±5㎝」などの精度は、業者の実績や現場対応力によって大きく差が出ます。
当メディアでは、±5㎝精度のDEMを取得できるドローンレーザ測量会社を徹底調査。
「山間・河川の防災対策」「森林管理」「都市インフラ」といった測量の目的とその現場に適した業者を、それぞれ3社紹介していますので、依頼業者の検討にぜひご活用ください。
ドローン(UAV)レーザ測量による河川測量を成功させるためには、信頼できる業者を選定することが極めて重要です。業者選定の際は、機材スペック、安全管理体制、価格とサポート体制、過去の事例や納品サンプルの4つのポイントで比較しましょう。
グリーンレーザを用いた河川測量の経験が豊富であるか、具体的な測深精度(何mまで、どの程度の濁度で測深可能かなど)を明確に提示できるかを確認しましょう。
機材のグリーンレーザ波長や点密度が、測定対象の河川環境に適しているかどうかも重要な判断基準となります。特に、水面・浅水域から深水域まで対応できるか、また必要に応じてソナーとの併用が可能かどうかも確認しましょう。
河川上空でのドローン飛行には、航空法に基づく飛行許可申請や、関係各所との調整が必要です。万が一の事故を防ぐための厳格な安全管理体制も欠かせません。
そのため、水域飛行に関する必要な許可を適切に取得しているか、具体的なリスク管理計画や緊急時の対応策が確立されているかを確認してください。安全管理規定、保険加入状況、過去の事故歴なども、業者の信頼性を判断する上で重要な要素となります。
ドローン(UAV)レーザ測量の費用は、測量範囲、データの種類、納期によって変動します。安価な業者を選ぶだけでなく、提供されるデータの品質、納期遵守の信頼性、測量後のアフターサポート体制を含めた総合的なバランスで判断しましょう。
特に河川測量においては、取得した3D水底モデルの更新サポート、洪水後の変位解析支援、さらには河川管理ソフトウェアとのデータ連携サポートなど、水管理に特化した手厚いフォローを提供しているかどうかも重要な選定ポイントとなります。
業者の技術力や対応力を具体的に判断するためには、過去の河川測量における事例や、実際に納品されたデータサンプルを確認することが有効です。水深分布図、河床の底質分類図、急流や浅瀬での測定結果など、河川特有の課題に対応したサンプルデータがあれば、その業者の専門性と技術レベルをより深く理解できます。
当メディアでは、主要なドローン(UAV)レーザ測量業者を独自に調査。「山間・河川の防災対策」「森林管理」「都市インフラ」といった測量の目的とその現場ごとに適した業者を紹介しています。依頼先を検討する際の参考に、ぜひご活用ください。
水部を含む複雑な地形を、精密に把握。浅部はグリーンレーザ、深部はソナーを使用することで、河床の起伏を精密に可視化し、公共測量基準レベル500をクリア(※1)。
砂防基盤図など、精密な3D図化が求められる測量に対応。国交省仕様に準拠した図化・地形図作成を、社内技術者が一貫して手がけている。
単に「樹木下の地形を計測」だけでなく樹高・樹種・本数・材積を自社の技術と解析で算出可能。樹種分類や資源量推計専門の技術者チームが、写真測量から材積推計までを大幅に効率化。
標識が置けないような急峻林でも、UAVレーザとドローンを適切に組み合わせ、後処理補正で公共測量基準±5㎝の精度(※2)を実測。
国交省「3D都市モデル整備プロジェクト」で50超の自治体データ(※3)を手掛けるなど、都市インフラ公共測量の行政案件で豊富な実績(※4)あり。
空中写真・レーザ・MMS点群を組み合わせ、壁面や道路脇も“抜け”なく3D化。出来上がったデータはCIM/BIM連携や日影・浸水シミュレーションに活用できる。
※1参照元:エアロ・フォト・センター公式HP(https://kkapc.co.jp/事例紹介/)
※2参照元:FLIGHTS公式HP (https://lidar.flightsinc.jp/lp/liair/)
※3参照元:パスコ公式HP(2025年7月確認時点)(https://www.pasco.co.jp/pickup/plateau/)
※4参照元:IRBANK|株式会社パスコ(2025年7月確認時点)(https://irbank.net/chotatu/5013201004656)