災害現場のドローン（UAV）レーザ測量

災害現場の状況把握は、一刻を争う重要な課題です。ドローン（UAV）レーザ測量は、人が立ち入りにくい危険な場所でも、ドローンが広範囲を効率的に測量し、高密度な3D点群データを瞬時に取得。被災地の全体像を迅速に「見える化」し、初動対応から復旧計画までを力強くサポートします。

災害対応でドローンレーザ測量が果たす役割

災害発生時の初動把握、二次災害防止、復旧計画支援という一連の業務フローにおいて、ドローン（UAV）レーザ測量は真価を発揮します。高精度な3D点群データを活用することで、これまでの測量手法では困難だった迅速かつ安全性の高い状況把握、現場での対応や救助などの的確な意思決定を可能にし、災害対応の質を飛躍的に向上させます。

被災地の初動把握

広範囲の被災地を短時間でスキャンし、崩落箇所や浸水範囲、土砂の堆積状況などを、高密度な3D点群データとして即座にマッピングします。得られたデータは、詳細な地形マップや被害状況を示すレポートとしてアウトプットされ、関係機関との情報共有にも役立ちます。

二次災害防止

高密度な点群データを用いて、斜面の微細な変位や亀裂の兆候を早期に検知します。そこから地盤の緩みや新たな土砂災害の危険性を予測。事前に警戒区域を設定するなどの対策を講じることで、救助隊員や住民の無事を確保し、二次被害を未然に防ぎます。

また、定期的な測量を実施し、時間の経過とともに変化する地盤の動きをモニタリングし、継続的なリスク管理にも活用できます。

復旧計画支援について

ドローン（UAV）レーザ測量で取得した3Dモデルは、復旧計画の策定において極めて有効なツールとなります。たとえば、土砂撤去のための重機配置のシミュレーション、仮設道路や搬出ルートの検討、資材の運搬計画など、さまざまなシミュレーションをPC上で行うことが可能です。

復旧工事の進捗状況を定期的に測量・比較し、計画との差異を把握し、柔軟な調整を行うこともできます。

ドローンレーザ測量
が災害時に選ばれる理由

災害現場においてドローン（UAV）レーザ測量が選ばれるのは、高精度のレーザ技術と自動飛行システムの組み合わせで、従来の測量手法では到達困難だった精度と効率を実現できるためです。測量精度の誤差が±5㎝以内である点（※1）や、広範囲の測量時間を約70～80％短縮できる点（※2）などが挙げられます。

精度の良さと作業時間短縮が実現できるのは、植生下や水中の地形を透過して計測できるグリーンレーザを用いていることや、飛行ルートの自動化により均一で効率的なデータ取得が可能であること、人が立ち入れない危険な場所や範囲を遠隔操作システムでリスクを伴わずにかつ効率的に測量できるのが理由です。

ドローンレーザ測量
による災害地測量の事例

ドローン（UAV）レーザ測量は、実際の災害現場において有効性を証明しています。ここでは、どのように災害地の課題を解決し、復旧に貢献しているか事例をご紹介します。

UAV-Redレーザによる
災害復旧計測

エアロ・フォト・センターでは、秋田県・東京都・神奈川県・石川県・宮崎県において、災害崩壊地の復旧計測を実施。UAV-Redレーザや点群解析を活用し、いずれも精度区分500を満たすデータを取得し、復旧作業の迅速化と安全性確保に貢献しました。

豪雨災害の被災地での測量例

2018年に発生した西日本豪雨の災害現場におけるドローン（UAV）レーザ測量事例です。広島県、岡山県、愛媛県を対象に、約50カ所でドローン（UAV）レーザ測量が行われました。

測量にはYellowScan Surveyor Ultraが使用され、1カ所あたり1日～3日で作業が完了。人が立ち入りづらい土砂や家屋の残骸が散乱する現場でも、遠隔操作で見えない部分の被害状況を把握できました。

土砂災害で流出した土砂や
地形の変化を測量

この事例では、発生した土砂災害の調査でドローン（UAV）レーザ測量が利用されました。ドローン写真では困難な樹木下の地形や、人が立ち入りにくい現場の測量に対応するため、照射点密度の高いレーザと一眼カメラを同時に搭載し、測量を実施。その結果、流出土砂や樹木下の詳細な土砂地形をリアルタイムで解析し、速報データとして提供できました。

レーザ測量で求められる「レベル500・±5㎝」などの精度は、業者の実績や現場対応力によって大きく差が出ます。

当メディアでは、±5㎝精度のDEMを取得できるドローンレーザ測量会社を徹底調査。

「山間・河川の防災対策」「森林管理」「都市インフラ」といった測量の目的とその現場に適した業者を、それぞれ3社紹介していますので、依頼業者の検討にぜひご活用ください。

災害対応のためのドローンレーザ測量業者の選定ポイント

災害発生時、迅速かつ正確な状況把握は、その後の復旧活動の成否を左右します。ドローン（UAV）レーザ測量業者を選定する際には、単に機材を保有しているだけでなく、緊急時に対応できる能力と経験を持つ信頼できるパートナーを選ぶことが不可欠です。

LiDAR波長とドローンの
飛行性能の適合性を確認

森林被災地や植生が密生した場所では、植生を透過して地表面を測量できるグリーンレーザ対応のLiDARが有効です。

ドローンも強風下や山間部の狭隘な場所でも安定して飛行できる耐久性や、長時間の連続飛行が可能なバッテリー性能など、多様な現場条件に対応できる機材を保有しているかを確認しましょう。

災害時飛行に必要な法規・
許可取得状況の確認

災害現場でのドローン飛行は、通常時とは異なる特別な規制や許可が必要となる場合があります。

人口集中地区や空港周辺での飛行、夜間飛行、目視外飛行など、災害現場で想定される特殊な飛行条件に対応するための国の許可（特定飛行に関する承認）を事前に取得しているか、危険区域での飛行特例申請の事例があるかなどを確認しましょう。国や地方自治体との連携実績があれば、緊急時のスムーズな協力体制が期待できます。

現地オペレーションの支援や、
データ解析まで対応できるか

災害現場では迅速なデータ提供が求められるため、測量後のデータ処理能力が重要です。標定点（レーザ計測用の対空標識）設置や即応飛行サポートなどの現地オペレーションを円滑に行えるかどうか、取得した点群データから高精度な3Dモデルを作成し、地形解析や体積計算などのレポート作成まで一貫して対応できる体制が整っているかを確認しましょう。

ワンストップで対応できる業者であれば、災害時の情報収集から意思決定までの時間を短縮し、より迅速な復旧活動に貢献できます。

当メディアでは、主要なドローン（UAV）レーザ測量業者を独自に調査。「山間・河川の防災対策」「森林管理」「都市インフラ」といった測量の目的とその現場ごとに適した業者を紹介しています。依頼先を検討する際の参考に、ぜひご活用ください。