建設・土木業界や森林管理において、高精度な3次元データを取得できるレーザー測量はもはや標準的な手法となりました。しかし、発注を検討する際に「航空機(有人機)によるレーザー測量」と「ドローン(UAV)によるレーザー測量」のどちらが自社のプロジェクトに適しているのか、判断に迷う担当者の方は少なくありません。
本記事では、これら2つの手法の違いを、面積・精度・費用の観点から比較解説します。
どちらの手法を選ぶべきかは、測量対象の広さと必要な点群の細かさで決まります。レーザー測量としての仕組みは同じですが、プラットフォームが「航空機」か「ドローン」かによって、得意領域が明確に分かれます。
| 得意な面積 | 航空:広域(数十km²〜自治体単位) ドローン:狭域(〜数十ha・小規模現場) |
|---|---|
| 点群密度 | 航空:数点〜10点/㎡(広域をカバー) ドローン:数百〜千点/㎡(極めて高密度) |
| 機動力 | 航空:事前準備と飛行許可に時間を要す ドローン:現場で即座に展開・計測可能 |
| コスト | 航空:広域ほど単価が下がる ドローン:小〜中規模ならコストを抑えやすい |
山間部全体の地形把握や、河川流域の広範囲な調査には、有人機による航空レーザー測量が適しています。一度のフライトで膨大な面積をカバーできるため、大規模プロジェクトにおいては効率的です。
数ha程度の工事現場や、ピンポイントな斜面崩落地の調査にはドローンが適切です。低空飛行により、航空機では捉えきれない地表の詳細なデータを取得できるのが大きなメリットです。
全体は航空レーザー測量で把握し、詳細なデータが必要な箇所だけをドローンで追加測量するという併用プランも一般的になっています。この組み合わせであれば、全体の整合性を保ちつつ、必要な箇所の測量精度を最大限に高められます。
現場の目的によって、レーザー測量の適切なアプローチは変わります。
密生した樹木の下の地表データを狙うなら、低空から照射できるドローンが有利です。ただし、数千haの森林調査であれば、コストとスピードの面で航空機による計測が優先されます。
急峻な地形や砂防堰堤(えんてい)の調査には、機動力のあるドローンが多用されます。対地高度を一定に保つ飛行が可能なため、複雑な地形でも均一なレーザー測量データが得られます。
橋梁のメンテナンスや道路の修繕計画では、構造物の側面データも重要です。ドローンなら照射角度を柔軟に変更できるため、壁面などの垂直に近い箇所も精密にスキャン可能です。
レーザー測量を外注する際、精度の低い成果物を納品されないよう、以下の項目を必ず確認してください。
航空レーザー測量とドローンによるレーザー測量。それぞれの特性を理解して使い分けることが、プロジェクト成功の近道です。
Q広い範囲なら、ドローンより航空レーザ測量を選ぶべきですか?
広い範囲を一度に計測するなら、航空レーザ測量が向く場合があります。
有人機は広域をまとめて飛べる一方、ドローンは限られた工区や再計測で機動力を発揮します。 面積だけで決めず、必要な点群密度、飛行できる空域、現地作業の回数、納期をそろえて比べることが大切です。広域の全体像を航空で取得し、詳細が必要な場所をドローンで補う選択もあります。
Qドローンレーザ測量は、航空レーザ測量より必ず安くなりますか?
ドローンレーザ測量が必ず安くなるわけではありません。
費用には飛行だけでなく、基準点の測量、現地の安全対策、点群の分類・検証、図面作成が含まれます。 狭い現場ではドローンが有利でも、広域では飛行回数や移動が増え、航空測量のほうが効率的なことがあります。見積もりでは計測範囲と納品物を同じ条件にそろえ、追加費用が生じる工程も確かめます。
Q同じレーザ測量でも、取得できる点群の密度は違いますか?
はい、同じレーザ測量でも点群の密度は変わります。
センサーの性能、飛行高度、走査角度や速度に加え、斜面・樹木の陰などで地表に届く点の分布が変わるためです。 ドローンは低い高度から細かく取得しやすい一方、平均密度が高くても必要な地表で点が不足することがあります。「点が多い」と「目的の場所を測れている」は別の話です。
Q山間部や送電線周辺でもドローンレーザ測量を使えますか?
山間部でも使えますが、送電線周辺は飛行と計測を別々に慎重に計画する必要があります。
急斜面や樹冠の陰は欠測につながり、架空線や離着陸場所の制約は安全な飛行経路を狭めます。GNSSの受信状況にも注意が必要です。 地図上で架空線と必要な計測範囲を示し、確保できる離隔や死角を現地で確認します。飛べない場所は地上測量などで補う前提も考えます。
水部を含む複雑な地形を、精密に把握。浅部はグリーンレーザ、深部はソナーを使用することで、河床の起伏を精密に可視化し、公共測量基準レベル500をクリア(※1)。
砂防基盤図など、精密な3D図化が求められる測量に対応。国交省仕様に準拠した図化・地形図作成を、社内技術者が一貫して手がけている。
単に「樹木下の地形を計測」だけでなく樹高・樹種・本数・材積を自社の技術と解析で算出可能。樹種分類や資源量推計専門の技術者チームが、写真測量から材積推計までを大幅に効率化。
標識が置けないような急峻林でも、UAVレーザとドローンを適切に組み合わせ、後処理補正で公共測量基準±5㎝の精度(※2)を実測。
国交省「3D都市モデル整備プロジェクト」で50超の自治体データ(※3)を手掛けるなど、都市インフラ公共測量の行政案件で豊富な実績(※4)あり。
空中写真・レーザ・MMS点群を組み合わせ、壁面や道路脇も“抜け”なく3D化。出来上がったデータはCIM/BIM連携や日影・浸水シミュレーションに活用できる。
※1参照元:エアロ・フォト・センター公式HP(https://kkapc.co.jp/事例紹介/)
※2参照元:FLIGHTS公式HP (https://lidar.flightsinc.jp/lp/liair/)
※3参照元:パスコ公式HP(2025年7月確認時点)(https://www.pasco.co.jp/pickup/plateau/)
※4参照元:IRBANK|株式会社パスコ(2025年7月確認時点)(https://irbank.net/chotatu/5013201004656)