ドローンレーザ測量(別名:UAV-LiDAR測量)は、測量やインフラ管理の現場で活用が進んでいる測量方法です。本記事では、点群データの基本的な仕組みと、ドローン(UAV)レーザ測量によって得られる点群データの特徴、具体的な活用シーンなどについて解説しています。ドローン(UAV)レーザ測量の導入を検討している方は、参考情報としてご活用ください。
点群データとは、3D空間上の位置情報(X・Y・Z座標)を持つ、数百万~数千万単位の点で構成されたデジタルデータのことです。ドローン(UAV)レーザ測量では、ドローンに搭載されたレーザ(LiDAR)から発せられるパルスが地表や対象物に当たり、その反射時間をもとに各地点の距離・位置を算出して、点群データを取得します。
単に地表の高低差だけを示すのではなく、構造物の形状や樹木の高さ、地形の起伏も詳細に表現することができます。設計や管理、計画立案において非常に有用です。
ドローンに搭載されたレーザ(LiDAR)は、1秒間に数十万点ものレーザパルスを照射・反射解析するため、高密度な点群データを取得できます。加えて、ドローン本体に高精度な位置補正機能が備わっているのも特徴です。GNSS(全球測位衛星システム)やIMU(慣性計測装置)などの機能で、地形の起伏や対象物の位置を数センチ単位の誤差で把握できます。
また、上空から広範囲を測定するため、森林や建物など視界が遮られやすい環境下もカバーできるのが特徴です。写真測量では取得しきれない地形情報の把握、地上の測量方法では対応が難しい山間部や災害現場などでも活用されています。
点群データの主な活用方法は、ドローン(UAV)レーザ測量を実施する現場によって大きく3種類に分けられます。
ドローン(UAV)レーザ測量の強みは、人が立ち入ることが困難な場所においても詳細な地形情報を迅速に取得できる点です。たとえば、地震や土砂崩れなどの災害が起きた直後には、二次災害の危険を避けながら状況を把握しなければなりません。ドローン(UAV)レーザ測量なら、上空からリスクを避けつつ短時間で点群データを取得し、崩壊範囲や被害規模を把握できます。
森林調査においても、上空からの測量により、樹木の密度や高さ、地表の起伏などを把握することが可能。森林資源の管理や間伐計画の立案に活用できます。
ドローン(UAV)レーザ測量で取得した高精度な点群データは、モデリングソフトと連携して、詳細な3Dモデルへ変換できるのが特徴です。土木・建設現場で、設計・施工計画を作成する際に活用すれば、従来の平面図や断面図にはない3Dの視点を得て、構造物と周辺環境の整合性を高められます。
造成工事でも活用すれば、斜面の角度や地形の起伏を踏まえた土量計算や切土・盛土の最適化を図り、無駄な施工や再作業のリスクを回避することが可能です。
橋梁やダム、法面などのインフラ構造物は、長期にわたり使用されることを前提とするため、定期的な点検や変状の把握が欠かせません。ドローン(UAV)レーザ測量で取得された点群データを時系列で比較すれば、わずかな変位(沈下や傾斜、変形など)を高精度かつ効率的に検知可能です。
特に高所や狭隘部など、人が立ち入れない場所でもリスクを伴わず効率的に測定できます。異常を早期に発見して対応できるため、事故リスクや補修費用の低減につながります。
点群データは現場業務の効率化だけでなく、意思決定や行政サービスの高度化にも直結する重要なインフラデータです。実際に点群データを活用している先進的な取り組みをご紹介します。
東京都が推進する「デジタルツイン実現プロジェクト」では、2030年の完成を目指して都市空間を仮想的に再現するための取り組みが進行中です。点群データは3D都市モデルの作成や、3Dビューアの高機能化に不可欠な基礎データとして活用されています。
具体的には、建物、道路、公共インフラなどの構造物を高精度に再現。経済活動や人流などのデータを統合表示することで、都市の「見える化」を図りました。都市計画や防災、交通最適化など、複数の行政用途での活用が期待されています。
村本建設は、点群データと3Dモデルで施工・設計管理をする手法(BIM)を重ね合わせた表示によって、現場の進捗管理や設計レビューの効率化を図りました。ゲームエンジン「Unity」を用いて、膨大な点群データを軽量化し、さまざまな端末上でスムーズに閲覧できるよう工夫されています。
実際の運用では、PCやタブレットだけでなく、頭に装着するゴーグル型やメガネ型のディスプレイ(HMD)による仮想空間でのレビューも実現。遠隔地の関係者も仮想的に現場へ同行できる仕組みを構築し、設計変更や工程見直しのタイムロスを最小限に抑えています。
当メディアでは、現在活用が進むドローン(UAV)レーザ測量について、メリットや価格相場など導入前に知っておきたい基本情報を幅広くまとめています。
時間やコスト、安全性の観点に加え、公共測量で求められる基礎知識としてもご活用いただけます。
水部を含む複雑な地形を、精密に把握。浅部はグリーンレーザ、深部はソナーを使用することで、河床の起伏を精密に可視化し、公共測量基準レベル500をクリア(※1)。
砂防基盤図など、精密な3D図化が求められる測量に対応。国交省仕様に準拠した図化・地形図作成を、社内技術者が一貫して手がけている。
単に「樹木下の地形を計測」だけでなく樹高・樹種・本数・材積を自社の技術と解析で算出可能。樹種分類や資源量推計専門の技術者チームが、写真測量から材積推計までを大幅に効率化。
標識が置けないような急峻林でも、UAVレーザとドローンを適切に組み合わせ、後処理補正で公共測量基準±5㎝の精度(※2)を実測。
国交省「3D都市モデル整備プロジェクト」で50超の自治体データ(※3)を手掛けるなど、都市インフラ公共測量の行政案件で豊富な実績(※4)あり。
空中写真・レーザ・MMS点群を組み合わせ、壁面や道路脇も“抜け”なく3D化。出来上がったデータはCIM/BIM連携や日影・浸水シミュレーションに活用できる。
※1参照元:エアロ・フォト・センター公式HP(https://kkapc.co.jp/事例紹介/)
※2参照元:FLIGHTS公式HP (https://lidar.flightsinc.jp/lp/liair/)
※3参照元:パスコ公式HP(2025年7月確認時点)(https://www.pasco.co.jp/pickup/plateau/)
※4参照元:IRBANK|株式会社パスコ(2025年7月確認時点)(https://irbank.net/chotatu/5013201004656)