森林のドローン(UAV)レーザ測量

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植生の濃い山林での調査は、従来の地上測量や有人航空測量では時間、コスト、安全面で多くの課題がありました。しかし、ドローンにLiDAR(3Dレーザスキャナ)を搭載し、低空で高密度な点群データを取得できるドローン(UAV)レーザ測量は、山林や森林などの測量課題を解決する手法です。本記事では、森林のドローン(UAV)レーザ測量についてご紹介します。

ドローンレーザ測量
による森林調査のメリット

ドローン(UAV)レーザ測量は、高精度かつ短時間で樹高・蓄積量を把握できるだけでなく、これまで立ち入りが困難だった急傾斜地や崩落地でも、オペレーターが現地に立ち入ることなく遠隔で効率的に測量を行えます。

航空機レーザ測量の1/10以下の高度で、狭隘地や木の下も透過した点群データを取得できるため、より詳細な森林状況の把握が可能。数日かかっていた解析作業を数時間で完了できるなど、調査にかかる時間を大幅に短縮し、作業効率の向上が期待できます。

ドローンレーザ測量
による森林測量の事例

森林の「見える化」による
森林管理と樹木情報の取得

ビジュアル・システムズ森林測量
引用元:ビジュアル・システムズ公式HP(https://visual-systems.jp/case/p526/)

広大かつ木々が生い茂る森林の現況把握を高精度なUAVレーザ測量とハンディ型SLAMレーザ測量を用い、AI解析した事例です。従来の測量方法では難しかった樹木の抽出や本数、胸高直径などを把握できました。

また、AIや写真判読による樹種分別も行い、個々の木々にIDを割り振り、属性データを付与した樹木位置算定データも得られるなど、「森林の見える化」に成功しています。

参照元:ビジュアル・システムズ公式HP(https://visual-systems.jp/case/p526/)

針葉樹の間伐計画のための
データ出力

HELICAM地形データ
引用元:HELICAM公式HP(https://www.helicam.jp/case/case01/)

釧路市で針葉樹の間伐計画のためにドローン(UAV)レーザ測量が行われた事例です。足場が悪い場所があったり、野生生物と遭遇したりするリスクがあるため、人力での測量には限界がありました。

そこでドローン(UAV)レーザを導入し、上空からデータを取得することで、森林全体の状況を効率的に把握できるようになりました。作業効率も上がり、間伐計画の適正化も図れました。

参照元:HELICAM公式HP(https://www.helicam.jp/case/case01/)

森林調査でドローンレーザ測量が選ばれる3つの理由

森林調査において、ドローン(UAV)レーザ測量が他の測量手法よりも適しているのには明確な理由があります。高精度、短時間、安全性という3つの軸で、選ばれるポイントをご紹介します。

高精度:資源量を正確に
算出できる

ドローン(UAV)レーザ測量で使用するLiDARは、高密度の点群データを取得できるため、樹木一本一本の詳細な形状や位置を正確に把握可能です。特に緑レーザを搭載したLiDARであれば、樹冠の下や水面下など、従来の測量では困難だった場所のデータも取得でき、より精度の高い資源量算出が可能。

樹高や蓄積量をはじめ、森林資源に関する情報を正確に把握し、持続可能な森林経営をサポートします。

短時間:測量時間を
大幅に短縮できる

広大な森林エリアの測量であっても、ドローン(UAV)レーザ測量なら短期間で完了できます。一度の飛行で広範囲のデータをまとめて取得できるため、作業員が徒歩で移動しながら行う従来の地上測量に比べて、ミッションプラン作成からデータ解析までの一連の作業を格段に短い時間で行うことが可能です。

森林経営計画の策定や施業の実行を迅速に進めることができ、大幅な作業効率の向上が期待できます。

安全性:急傾斜地や崩落地も
危険を伴わずに測量できる

森林、特に山間部の急傾斜地や崩落地、植生が密生している場所では、人力による立ち入りは危険を伴い、有人航空機では詳細なデータ取得は困難を極めます。ドローン(UAV)レーザ測量であれば、人が立ち入る必要のない離れた場所から遠隔操作で測量が行えるため、人力で測量する場合のリスクを排除できます。

これまで測量が困難だった場所でも高精度なデータを取得でき、危険を伴わない調査環境を確保しながら、災害リスクの評価や対策にも貢献します。

精密DEMを必要とする方必見!
公共測量に対応するドローンレーザ測量業者を特集

レーザ測量で求められる「レベル500・±5㎝」などの精度は、業者の実績や現場対応力によって大きく差が出ます。

当メディアでは、±5㎝精度のDEMを取得できるドローンレーザ測量会社を徹底調査。

「山間・河川の防災対策」「森林管理」「都市インフラ」といった測量の目的とその現場に適した業者を、それぞれ3社紹介していますので、依頼業者の検討にぜひご活用ください。

森林調査における業者選定の
ポイント

ドローン(UAV)レーザ測量を導入するにあたり、信頼できる業者を選定することは非常に重要です。機材スペック、事例・成果、アフターフォローの3つの軸で比較検討すると、適切なパートナーを見つけることができます。

機材スペック(エコー数・点密度)
をチェック

森林や草地の測量では、枝葉にレーザが反射してしまうことがあります。マルチエコー機能がある機材なら、枝葉での反射と地表面の反射を区別できるため、植生下の正確な地形データを取得できるため、森林調査や防災測量では必須の機能です。

また点密度が高いほど、細かな凹凸や谷筋なども捉えやすくなり、森林内部の状況や資源量をより精緻に把握できます。業者を選ぶ際は「どのくらいの点密度で計測できるか」を確認することが重要です。

納品データのサンプルや
事例をチェック

業者選定の際には、過去の測量事例や実際に納品されたデータのサンプルを確認することが不可欠です。事例や成果は、その業者がどのような環境で、どの程度の精度のデータを取得できるのかを具体的に把握できます。

提供される点群データや解析レポートの形式が、自社の解析環境や目的に合っているかどうかも事前にチェックしておくと、スムーズなデータ活用に繋がります。

アフターフォローとデータ解析支援の有無をチェック

ドローン(UAV)レーザ測量はデータの取得だけでなく、その後のデータ解析も重要です。そのため、測量後のアフターフォローやデータ解析支援の有無も重要なチェックポイント。解析ソフトの操作教育や、取得したデータに基づいた追加解析レポートの提供など、導入後のサポート体制が充実している業者を選びましょう。

当メディアでは、主要なドローン(UAV)レーザ測量業者を独自に調査。「山間・河川の防災対策」「森林管理」「都市インフラ」といった測量の目的とその現場ごとに適した業者を紹介しています。依頼先を検討する際の参考に、ぜひご活用ください。

【現場別】
公共測量の成果物に対応する
ドローンレーザ測量業者3選
山間・河川防災対策
公共測量なら
エアロ・フォト・センター
エアロ・フォト・センターの公式HP
引用元:エアロ・フォト・センター公式HP
(https://kkapc.co.jp/landing/)
水部を含む崩壊地の
精密3D化で防災対策を支援

水部を含む複雑な地形を、精密に把握。浅部はグリーンレーザ、深部はソナーを使用することで、河床の起伏を精密に可視化し、公共測量基準レベル500をクリア(※1)

砂防基盤図など、精密な3D図化が求められる測量に対応。国交省仕様に準拠した図化・地形図作成を、社内技術者が一貫して手がけている。

森林管理
公共測量なら
FLIGHTS
FLIGHTSの公式HP
引用元:FLIGHTS公式HP
(https://flightsinc.jp/)
森林資源量を精密に把握し
管理を効率化

単に「樹木下の地形を計測」だけでなく樹高・樹種・本数・材積を自社の技術と解析で算出可能。樹種分類や資源量推計専門の技術者チームが、写真測量から材積推計までを大幅に効率化

標識が置けないような急峻林でも、UAVレーザとドローンを適切に組み合わせ、後処理補正で公共測量基準±5㎝の精度(※2)を実測。

都市インフラ
公共測量なら
パスコ
パスコの公式HP
引用元:パスコ公式HP
(https://www.pasco.co.jp/biz/)
㎝精度の都市3Dデータで
行政の都市計画を支援

国交省「3D都市モデル整備プロジェクト」で50超の自治体データ(※3)を手掛けるなど、都市インフラ公共測量の行政案件で豊富な実績(※4)あり。

空中写真・レーザ・MMS点群を組み合わせ、壁面や道路脇も“抜け”なく3D化。出来上がったデータはCIM/BIM連携や日影・浸水シミュレーションに活用できる。

※1参照元:エアロ・フォト・センター公式HP(https://kkapc.co.jp/事例紹介/)

※2参照元:FLIGHTS公式HP (https://lidar.flightsinc.jp/lp/liair/)

※3参照元:パスコ公式HP(2025年7月確認時点)(https://www.pasco.co.jp/pickup/plateau/)

※4参照元:IRBANK|株式会社パスコ(2025年7月確認時点)(https://irbank.net/chotatu/5013201004656)